【作家インタビュー】vol.27 MOONSOAP代表 滝井みおぎさん

【作家インタビュー】vol.27 MOONSOAP代表 滝井みおぎさん
【作家インタビュー】vol.27 MOONSOAP代表 滝井みおぎさん

作家インタビュー vol.272021.08.05

MOONSOAP 代表 滝井みおぎさん

CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。

今週は、「天然精油とソイワックスでつくる アロマキャンドルレッスン」の
指導と材料提供をしていただいた、MOONSOAP代表 滝井みおぎさんの
第一回目のインタビューです。

MOONSOAP立ち上げのきっかけや、ブランドの由来からお伺いしました。

肌からの浸透を考え、口に入っても安全な原料に

「忙しく仕事をしている中、頭皮や肌が従来のシャンプーや
洗顔フォームが合わなくなってきて、石けんを作り始めました。

キッチンで作っていた手作り石けんの表面はまるで空に浮かぶ
月の表面に色合いや感触が似ているように見えたので、
ブランドの名前をMOONSOAPとしました。

肌も身体の一部で肌に使ったものは
多かれ少なかれ浸透しているのだから、
肌に良いものは口に入っても安全なもので
地球に流しても生物が生きていけるものが良いと思い、
原料は『口に入ってもよいもの』にこだわりました」

MOONSOAPさんの特徴でもある「ナチュラルコスメ」とは
どういったものなのか、あらためてお伺いしました。

ナチュラルコスメは肌だけでなく、心や身体も整うものでありたい

 「コスメという言葉は、宇宙や調和のとれたものという意味が語源です。

ナチュラルコスメは肌だけでなく、心や身体も整うものでありたいと思っています。

また香りや使用感、パッケージも含め、
五感で良いと感じられる製品を作りたいと思っています。

99%オーガニック成分という表示は信頼できません。

なぜかというと、合成の防腐剤や香料などは強いので、0.1%でも製品全体に影響があるからです。

全体が調和とバランスが取れているものを、天然の成分だけで作るのは
天然原料の酸化しやすさや腐りやすさ、揮発しやすさなど考えると
一定の基準を保つのはとても難しいのです。

化粧品は腐ったり、変化したりしないのが当然と
一般的に考えられているかもしれません。

でも肌や身体に親和性の良いものは、酸化したり、変化したりします。

食べ物を扱うような気持ちで、暑い夏には溶解して
秋になったら再凝固したクリームがつぶつぶのテクスチャーになってしまったり、
しばらく使わないでいたオイルが酸化していたりすることもあります。

無農薬野菜と同じような感覚で、
感覚を研ぎ澄ませて使っていただけたらいいと思っています」

石けん以外にも魅力的なコスメ類を取り扱われていらっしゃいますが、
どのように商品が広がっていったか、お伺いしました。

自分が欲しいもの、素晴らしい原料に巡り合えたとき

「自分がほしいもの、
周りの家族や友人からこういう製品を作ってほしいとリクエストされたもの、
あとはマリで女性たちが作るシアバターや秋田の無農薬のローズ、
カレン族が作る麻炭や素晴らしい原料にありがたく出合えた時に
そこから着想して製品につながることがあります」

今回アロマキャンドルレッスンでは、MOONSOAPさんブレンドの精油が
セットされていますが、原料を選ぶ際のこだわりについて教えていただきました。

一番大切にしているのは、どんな人たちがどんな思いで作っているか

「自然の花、葉、実、木々から抽出されて加工されていないもの、
植物オイルなら未精製のもの、香料ならば天然精油そのものを使います。

製品安定性のためには、酸化しにくいオイルやハーブを組み合わせて
防腐効果、酸化防止効果を持たせるように調合しています。

一番大切にしているのは、どんな人たちがどんな思いで作っているか、
どんな背景で作られているか、この原料を使うことによって喜ぶ人たちがいるのかです。

オーガニック認証よりも、そういったことを気にします。

あとはできるだけ無農薬のものを選ぼうとしていますが、
買いやすい価格で製品にしたいということから
従来農法のものを選ぶこともあります」

石けんとオーガニックヘアワックスはタイの工房で作られているそうですが、
なぜこの場所を選ばれたのでしょうか? お伺いしました。

植物療法が今も息づき、人々が焦らない文化を持つ国

「石けんやオーガニックヘアワックスを作るのに良い環境や
原材料と人々が、タイにありました。

タイは、大学生の頃に初めて行ってから今まで
チケットが一番安いからという理由もありますが、
一番訪れたことのある国でもあります。

一年中太陽が降り注ぎ、雨季はたっぷりと大地が水を吸収し、
植物の成長がとても早く、昔から伝わる植物療法が
ハーブサウナやココナッツオイルでのヘアケアのように
今もふつうに人々に受け入れられ、また料理にはレモングラス、タイショウガ、カフィアライムリーム、
ターメリック、タマリンドなど様々なハーブがふんだんに使われていて
そのままで薬膳のようで、とても美味しいのです。

石けん作りの主原料である米ぬかオイル、ココナッツオイル、レッドパームオイル、
パームオイルやセサミオイル、あとは今人気のモリンガオイルなど
魅力的なオイルが豊富に生産されていて、市場にはジンジャーやプライ、ターメリック、
シナモンなどのハーブもたくさん並びます。

あとはタイの人々は焦らない文化があり、
時間の感覚がスピーディーな日本とは違いますが、
それでも最後には良いものを作ってくれるので
そういったペースも良いのではないかと思い出させてくれます。

生産の環境については、酷使して無理して仕事をしないことです。

仕事は毎日の生活で一番時間を占めることも多いので
ある程度緊張感はありつつ、自分自身を大切にしたいし、
働く人たちみなそうしてほしいと思っています」

石けんは手仕事にこだわって作られているそうですが、
時間や費用がかかっても、手仕事を選ぶ理由についてもお伺いしました。

大量生産、大量消費ではなく、必要な人に必要なだけ届けたい

「天然の原料を使った手作りコスメには
手仕事のスピードがぴったりなのです。

何万個ものクリームを一度に作ってしまうと、強い合成防腐剤や酸化防止剤が必要になります。
少量生産ならば、その年に採れた農産物で
なるべくフレッシュな製品を作ることができます。

またこうすることで、大量に作って廃棄したりすることなく、
必要な分だけを作りことができます。

大量生産大量消費ではなく、必要な人に必要なだけ届けたいからです。

あとは、コスメは手を使って肌へ与えるものなので
人の手仕事のぬくもりがある製品を使うと、
その製品ができるまでにかかわってきた人たちの
ぬくもりが感じられて、なんとなく元気になれるからです」

◆作家プロフィール MOONSOAP 代表 滝井みおぎさん

薬草や植物オイルの宝庫であるタイ北部の静かな村で石けん作りをしている
女性たちとの出会いから、MOONSOAPを設立。

現在、石けんやヘアワックスはタイの工房で、ほかの商品は日本国内で、
安全なコスメをひとつひとつ手作業で仕上げています。

世界を旅して目にしたもの、日本の四季の中で暮らす日々、
そして子供を産み育てていく中での気づきが
製品開発のエッセンスとなり、MOONSOAPのアイテムは育まれています。

今週のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。
来週は、アーユルヴェーダについてお伺いしていきます。

夏本番となり、身体も疲れやすい日々ですが
アロマキャンドルレッスンで心も体も癒されてみませんか?

記事の最後に、レッスン詳細の紹介ページと
レッスン動画をご案内させていただきます。
自分をいたわる夏のレッスンとしてもおすすめです。


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