【作家インタビュー】vol.31 アーティスト 奥見伊代さん

【作家インタビュー】vol.31 アーティスト 奥見伊代さん
【作家インタビュー】vol.31 アーティスト 奥見伊代さん

作家インタビュー vol.312021.09.09

アーティスト 奥見伊代さん

今週は、
「童話のような世界を楽しむ 糸と針で描くイラスト刺しゅうのレッスン」を
ご紹介いただいている、奥見伊代さんの第二回目の取材となります。

奥見さんの描かれる世界は、動物も人間も、自然の中で対等に生活していたりと
ドリーミーで、まるで空想の中のようなイマジネーションにあふれています。
この不思議な世界は、奥見さんの中に幼いころからあるイメージなのでしょうか。
絵のモチーフや世界観はどんなところから来ているのか、お伺いしました。

人も生き物も同じ立場で生きる、楽園のような場所

「空想や妄想が好きな子どもだったので、人も生き物も
同じ立場で生きる世界に住みたいと思っていました。

ずっと自分の中にあるのは、うっそうとした緑の中を抜けると
たくさんの植物や生き物たちが同じに生きる楽園のような、
桃源郷のような、ひっそりとした庭のような場所が現れるというイメージです。

絵のモチーフは子どもの頃の記憶だったり、本や図鑑、映画やアニメで気になったもの、
旅先や散歩中に出会ったもの、好きなもの嫌いなものなど、さまざまです。

それらが自分の中でいろいろぐるぐる組み合わさって、
今の世界観が出来上がったのかなと思います。

個展『a piece of story 』2021

個展『decorative』2021

奥見さんの作品を拝見していると、絵本や小説のように物語を見ている気持ちになります。
実際、絵を描くときは、ストーリーやキャラクター設定を文章化されたりもするのでしょうか?
また、多色で彩られた美しい色彩がとても美しいので、色選びで意識していることについても教えてください。

断片的なイメージの言葉を、思いつくままノートに書き溜めて

「しっかりとしたストーリーを考えることはできないので
文章というよりテーマに沿って断片的なイメージの言葉を思いつくままに
ノートにぽつぽつと書き留めています。

色彩については、美しいと言ってもらえて嬉しいです。

色選びで意識していることは、感覚的になりますが
全体の色の調和が自分の中でしっくりくるかどうかでしょうか。。。」

刺繍糸

今回、CRAFTINGでキット化させていただいた3作品について、
各作品のストーリーや創作秘話、こだわったところなどをお聞かせください。

自分の刺繍の世界そのままに「お客さまが縫う」ことを考えて

「普段は、絵の表現方法の手段として刺繍を用いて絵を描いているので
自分の刺繍らしさをそのままに、ただ今回はお客さまが縫うことを想定して
簡単すぎず、でも複雑すぎない分量を考えるのが難しく、
またこだわった部分でもあります。

ちなみに難易度はいちご摘み→ランデブー→ハーベストの順になっています。

このキットでは、森に棲む住人たちが豊作を喜んだり
収穫したりしている場面をそれぞれ描いています。

作品ひとつでも飾れるのですが、3つ揃うとさらに世界観が広がるので、
もしよければぜひコンプリートしてみてほしいです」

糸と針で描くイラスト刺しゅう〈いちご摘み〉

糸と針で描くイラスト刺しゅう〈いちご摘み〉

糸と針で描くイラスト刺しゅう〈ランデブー〉

糸と針で描くイラスト刺しゅう〈ランデブー〉

糸と針で描くイラスト刺しゅう〈ハーベスト〉

糸と針で描くイラスト刺しゅう〈ハーベスト〉

最後に、ご購入されるお客様へのメッセージをお願いしました。

ひと針ひと針に、時間の流れや愛おしさが感じられると思います

「チェーンステッチすら断念した私が、刺繍キットなどと畏れ多いのですが
こんな刺し方もあるのか、と
誰かの刺繍を始めるきっかけになればいいなと思い
今回制作に至りました。

そして楽しかったら本格的に刺繍を学ばれるのもいいですし、
独自の方法を編み出していくのも素敵です!

普段刺繍される方は感覚的な刺し方に困惑されるかもしれませんが、
箸休め的に楽しんでもらえたら嬉しいです。

同じ線の縫い方だけなのでちょっと大変かもしれませんが
出来上がっていく作品からはひと針ひと針、刺した糸に
時間の流れが感じられて愛おしさが感じられると思います。

少しずつ出来上がっていく過程を楽しみながら
ぜひ最後まで完成させてもらえると嬉しいです。

手にとってくださった方に、良い刺繍時間を過ごしてもらえますように」

◆作家プロフィール 奥見伊代さん

京都造形美術大学ファッションコース在学中に刺繍と出合う。

絵としての刺繍の表現に興味を持ち、卒業後イラストレーションを学ぶ。

現在は、刺繍糸や色鉛筆を使った物語性の豊かな作品を制作発表している。

今回のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。

奥見さんの鮮やかで深く繊細な絵のような刺繍の世界と同じように
インタビューの内容に引き込まれる時間でした。

奥見さん、ありがとうございました。

9月ももう2週目。
少しずつ夜が長くなって、刺繍の時間にはふさわしい季節です。

ぜひCRAFTINGの奥見さんのレッスンで
ステキな絵画のような世界を味わっていただけたらと思います。


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