CRAFTINGマガジン特別企画 伊勢木綿の魅力

CRAFTINGマガジン特別企画 伊勢木綿の魅力

CRAFTINGをご覧の皆様、こんにちは。

1月19日にレッスンが公開されました、

越膳夕香さんのがまぐちシリーズ
伊勢木綿で作るがまぐち 全4講座

の素材として用いられている伊勢木綿について
臼井織布さんにお話しをお伺いしました。


CRAFTINGマガジン特別企画としてお届けして参ります。

 

伊勢木綿の歴史

古くから木綿づくりが盛んだった伊勢地方。
 気候風土に恵まれたは伊勢では生産された木綿は、
伊勢商人の手により江戸に伝わっていくことになり、
「伊勢木綿」と称されるようになります。戦前までの長い間
日常着として全国の人々に愛されるまで普及し、当時の
伊勢商人達の経済的基盤を作ったとされています。

 

 

 

戦後になると化学繊維の発展や服飾文化が変化したことで需要が減り、
令和の今、伊勢木綿を生産する工場は臼井織布さんただ一社となっています。
大変貴重な伊勢木綿は、三重県の伝統工芸品としても認定されています。

 

伊勢木綿の魅力

昔から変わらぬ製法でできる小巾の反物。
最高の肌触りと素朴な風合いの魅力があふれますが、
その秘密は糸(弱撚糸)にあるとされています。


弱撚糸は綿に近く、ねじりが少ないため、切れやすいのが特徴。
時間をかけて良質の糸で織る必要があるなど、技術を要します。
1台の機械で1分間に約3センチ、1日で一反(約13メートル)
しか織れないため大変希少性の高いものです。

 

 

明治時代から変わらぬ製法。 臼井織布さんの工場には
当時から使われている「豊田式自動織機」がずらりと並んでいます。
そのすべてが現役で稼働しており、
今日も一反一反、丁寧に織り上げられています。
 

出来上がった布は洗っていくうちに糊が落ちていき、柔らかく変化します。
糸が綿(わた)に戻ろうとする性質からですが、
この肌触りが伊勢木綿の魅力となっています。
 

一般の木綿は洗えば硬くなるのに対し、
国内最高級の純綿糸を使用されていることから
伊勢木綿は洗えば洗うほど柔らかく風合いが出、
また、しわになりにくいのも特徴です。
 

 

製法について

布が生まれる前は糸を「かせ」という束の状態(かせくり)にします。
その後、汚れや油分を取り、1本1本丁寧に整えていきます。
かせごとに染められた糸は、昔から使い続けている木の糸巻き
(ボビン)に巻きつけます。
 

 

部分整形の時、糸巻きは一回250本ほどを何度か繰り返し、
多いときには全部で1200本必要になることもあるそうです。
機械の傍らでは絶えずベテランの織り子さんがすぐそばに待機し、
絶えず織りあがりに目を配り、調整をしながら糸を巻いていきます。

布を織るときにより密度の高い布地にするため、横糸には糊付け
しないそうですが、縦糸には、柔らかく切れやすい繊細な弱撚糸を
使っているため、澱粉糊で糊付けが行われています。

 

 


糸巻きを「屏風」という形に1本ずつセッティングし、
糸巻きから一本ずつ引き出した糸を、さらに大きな「チキリ」と
呼ばれる織り機のパーツに巻いていきます。根気のいる手作業を
繰り返しながら、ようやく機織りへと進んでいきます。



機織りではチキリに巻きつけた糸を縦糸として
力織機に取り付け、機つなぎをします。シャトルについた
横糸が右へ左へとリズミカルに行き来し、
少しずつ綿布が織りあがっていきます。

 

紐で「くちあき」と呼ばれる縦糸の空間を調整するのが
織り子さんの主な仕事。以前は手直しと呼ばれ、
この細やかな作業こそが織り上がりの風合いを決定するのだそうです。

 

織り上がった伊勢木綿は、一度水通しをし、陰干しを経て店頭へと並びます。

やわらかく、どこかぬくもりが感じられる伊勢木綿。
こうして今日もひとつひとつ、丁寧に織り上げられています。

 

◆越膳夕香さんのがまぐちシリーズ(伊勢木綿編)について

毎日の暮らしの中で使えるものを、自分仕様で作る楽しさを
伝え続けている人気ソーイング作家の越膳夕香さんが、
とても希少な伊勢木綿を使ってデザインした
がまぐち作りを楽しむレッスンとなっています。


このレッスンでは、きれいに仕上げるポイントを
動画とテキストで説明しているので、どなたでも安心して作れます。
ぜひ、伊勢木綿のやわらかな手触りを味わいながら、
じっくりとお楽しみください。

 

越膳夕香さんのがまぐちシリーズ(伊勢木綿編)レッスンはこちら

 

1台の機械で1分間に約3センチ、1日で一反しか作られてない伊勢木綿が
材料セットでついてくるスペシャルなキットです。
ぜひCRAFTINGでお楽しみください。

 

取材協力・写真提供//臼井織布

http://isemomen.com/


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