
CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。
今週は、「Sunny Thread 15色で描く 草花と動物の庭」を
ご紹介してくださった、刺しゅう作家 ayaさんの
第三回目のインタビュー(最終回)です。
今回は現在もっとも力を入れている活動についてお伺いしました。
移住で得られた暮らしの変化を表現に生かしたい
「昨年の秋に、首都圏から熊本の小さな島に移住しました。
大きく生活環境が変わり、海に山にと自然がぐっと身近になりました。
新しい場所に身を置くことでたくさんの刺激をもらっています。
今はまだ模索の中にいますが、そんな暮らしの変化から受け取るギフトを
自分なりに消化してこれからの表現に生かしていきたいと思っています」
▲ayaさんの移住された熊本の小さな島の風景から
日々、新しい色が増えている「Sunny Thread」
新しい色が出来上がるまでにはどのような工程があるのでしょうか?
普段から生活の中で色のイメージや原料探しを意識していらっしゃるのかもお伺いしました。
日常の風景の記憶と手仕事のなかから新色が生まれる
「日々、新色を意識して何かをしているということはないですが、
毎日の中で出会ったきれいな風景や植物を写真に残していたり、
記憶にとどめておく中で、新しい色が生まれていきます。
また日頃、刺しゅうをする中で
『こういう色があるともっと刺しゅうの表現が広がるな、
つぎはこういう色が作れたらいいな』と思ったりします。
その両方からのアイデアの中で色が生まれていっています」
▲「Sunny Thread」オーガニックコットン糸を天然の植物染料で染めたオリジナル刺しゅう糸
たとえば、上のお写真の真ん中あたりにあるラベンダー色の刺しゅう糸は
<#01>
Name: Rendezvous in Sunset
Dye: Lavender in France / フランス産ラベンダー
パリの夕暮れの空の色をフランスのラベンダーで。
という物語があります。
ayaさんがパリ留学時代の思い出の景色の色合いなのかな?と想像しつつ、
従来の草木染の色合いとは違う植物の持つ瑞々しい色彩、独特の奥行きのある色の深さ。
ほかのどこにもない刺しゅうの世界の広がりは、自然が生み出す懐の広さそのものなのかもしれません。
(今回のレッスンの15色のオーガニック糸について詳しくはレッスンの詳細ページでご紹介しています。)
続いて、ayaさんが思う「刺しゅうのここが好き!」というところをお伺いしました。
手を動かす、誰かが受け取ってくれる、そのすべてが好き
「デザインや素材、色、思い描いていたものが
手を動かしながら形になって完成する、
そしてそれを誰かが受け取ってくれる…
すべての工程がすきです。
そして一人もくもくと時間を忘れて集中できるところも大好きです。
集中することで頭を空っぽにしてリラックスするような。
刺しゅうってとても時間がかかるもの、
そのかかる時間がとても楽しいものだと思います」
▲レッスンの作品「やぎと草花のハンカチ」。色数を目一杯使って小さなお花を一つ一つ刺していく特別な時間をお楽しみください
お客様との交流で大切にしていることや作家活動をしていて
嬉しかったことなどをお伺いしてみました。
「日常により心地よくなじむものがお届けできたら」
「縁あってお届けした刺しゅう作品を長くご愛用していただけたらと思っていて、
ブローチなどのアクセサリーはお直しなども承っています。
またオーダーなどではお客さまのご要望でパーツや色を選んでいただいたり、
その方の日常により心地よくなじむものがお届けできたらと思っています。
作家活動全てが、自分が楽しい、やりたいと思ったことにひとつひとつ取り組んでいる活動です。
一人単位の小さな活動ですが、その中で人とのかかわりが生まれて、
思い描いていたものが出来上がったり、また出来たものを喜んで受け取ってもらえたり。
そのすべてが楽しくうれしい出来事です」
▲CRAFTINGのレッスン作品の菜の花とチューリップのブローチ
最後にCRAFTINGレッスンを受講される方へのメッセージをお願いしました。
針を進める時間をゆっくりと楽しんでいただけたら
「この度はご受講下さり、ありがとうございます。
オーガニックコットンで描く草花と動物。布や糸に触れ、
針を進める時間を味わいながらゆっくりと楽しんでいただけたら幸いです。
制作工程を動画で撮影するのは初めての試みでしたが、
お家にいながら楽しくレッスンしていただけるよう、
出来るだけわかりやすくお伝えしたいと思いながら日々撮影致しました。
ぜひ一つでも二つでもステッチをマスターして、
これからの自分の針仕事にお役立ていただけたら嬉しいです」
時間をかけることの大切さ、時間にしかできない仕事。
ayaさんの聡明さ、やさしさが伝わるメッセージを
今回もたくさんいただきました。ありがとうございました。
来週は羊毛フェルト作家 Fluffy Mary(フラッフィー・メリー)さんの
インタビュー記事をお届けします!
<作家profile>刺しゅう作家 aya 元田綾子さん
1983年東京生まれ。ESMOD JAPON 東京校卒業。
アパレルデザイナーとして勤務の後、パリにてオートクチュール刺しゅうの基礎を学ぶ。
2009年『日々の装いに添える小さな手仕事』をコンセプトに刺しゅう作品制作をスタート。
2016年オーガニックコットンのオリジナル刺しゅう糸を商品化するための
Sunny Thread Projectスタート。
2020年「わたしのための心地いいもの」をコンセプトに
サステイナブルな素材で作るインナーウェアラインをスタート。