作家インタビュー vol.352021.11.25
縫いぐるみ作家 そぼろさん
CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。
先週からお届けしております、縫いぐるみ作家 そぼろさんへのインタビュー記事。
今回は現在の活動内容からお伺いしていきます。
月に一度、縫いぐるみの「お迎え会」を開催
「だいたい月に一度『お迎え会』を開催して、
こしらえた縫いぐるみをお迎えいただいてます。
ご注文が被った場合は抽選というかたちをとることがほとんどです」
一人ひとり表情も違い、そぼろさんによって
生命が吹き込まれている縫いぐるみさんたち。
毎回お迎え主様への出発の時はどんなお気持ちなのでしょうか?
お伺いしました。
切ない気持ちとともに、「お役目果たしてね」という思いも
「気に入っていただけますように、と祈るような気持ちと、
旅立っていくのだなぁ、というちょっと切ない気持ちと、
しっかりお役目を果たしてね!という、頑張れよの気持ちです」
まさに子どもの門出を迎えた、親の心境に通じるような
いろいろなお気持ちが重なり合う瞬間なのですね。
まるで心を持っているように思える、そぼろさんの縫いぐるみさんたちですが
縫いぐるみを制作するときに参考にしていること、
意識していることなどがあれば、教えてください。
こしらえてる時は全部、100%意識して
「意識していること、と聞かれて、
『こしらえてる時は全部、100%意識しているな』と気付きました。
意識していないことが無いくらい全てに意識を向けています。
手元の針、生地の織り目、聞こえてくる環境音、差し込んでくる光、
何もかもが影響して相まって、やっと誕生する子たちばかりです。
質問の意図と違ってたらごめんなさい」
まるでお腹のなかで赤ちゃんが育っていくような、命が生まれるところのお話しですね。
そぼろさんの制作される縫いぐるみさんたちのお顔にも、その過程が表れているように感じます。
今回のレッスンではじめて縫いぐるみ制作をなさる方もいらっしゃると思います。
初心者さんが縫いぐるみをこしらえるうえで、コツがあれば、ぜひお伺いできますか?
自分の作りたいように作れば、それが一番の正解
「いつも機会があればお伝えしているのですが、とにかく自由にこしらえることですかね。
大人になってから『普通は』とか、『基本的には』とかに自然と引っ張られる機会は増えてきます。
趣味の世界まで『普通』とか『いかに上手くやるか』というのに
とらわれすぎるのはナンセンスに感じます。
自分の作りたいように作れば、それが一番の正解なはずです。
もちろんそれを表現するために、勉強や練習が必要になる可能性もあります。
『ただひたすらに自分のイメージと向き合う』これが一番のコツだと思います」
そぼろさんの言葉がキラキラと光る、とても大切にしたいメッセージ、ありがとうございます。
では、第二回目インタビューの最後にお伺いします。
ずばり、そぼろさんにとって、縫いぐるみとはどんな存在ですか?
それぞれの子に不思議と、役割や持ち場がある
「前に述べたことと重複してしまいますが、不思議な存在です。それが魅力でもあります。
例えば、わたしが自身でこしらえた子と、街のお店で迎えた子と、
あとは常に側に置いてる子とそうでない子、など我が家だけでも様々存在しますが、
なんだかそれぞれに役割や持ち場があるんです。
きっとこの世に存在する全ての縫いぐるみに、それが言える気がします」
◆作家プロフィール そぼろ
1983年生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業、同大学院修了。
大学院を出てしばらくして「そぼろ」としての活動を開始。
2017年頃今のスタイルのぬいぐるみを展開し始め、現在に至る。
2014年に著書「そぼろのおとぼけぬいぐるみ」(誠文堂新光社)、
2021年に「そぼろのふわもこ縫いぐるみチャーム」(文化出版局)がある。
現在は主に、SNSやweb上で「お迎え会」という販売会を開催中。
https://www.instagram.com/sobokoara/
今回もステキな言葉を紡いでくださって、そぼろさん、ありがとうございました。
今週のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。
また、来週もお楽しみに。
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