作家インタビュー vol.282021.08.19
MOONSOAP 代表 滝井みおぎさん
CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。
今週は、「天然精油とソイワックスでつくる アロマキャンドルレッスン」の
指導と材料提供をしていただいた、MOONSOAP代表 滝井みおぎさんの
第二回目の取材となります。
今回はレッスンとの関連が深い、アーユルヴェーダについてからお話しをお伺いします。
「生命の智慧」という意味を持つ、インド発祥の伝統医療
「サンスクリット語のアーユス(Ayus/生命)とヴェーダ(Veda/知識・智慧)を
組み合わせた「生命の智慧」という意味を持つ言葉で、
五千年の歴史をもつインド発祥の伝統医療です。
アーユルヴェーダでは、健やかにくらすために個々人のもつ違い、
すなわち体質をとても重視しているんですね。
それはどのような体質(ドーシャ)であるかによって、
適した薬や食べ物、ライフスタイル、人間関係、環境も異なるためです」
アーユルヴェーダとはいつ頃、どのように出会われたのですか?
心身を健やかな状態へ導くヨガとの出合いがきっかけに
「石けんを作り始めた頃、友人の誘いで友人の誘いで
アシュタンガヨガに通い始めました。
アシュタンガヨガは身体を鍛えるようなアーサナが多く、陽のヨガです。
身体と心を一体化させていく、ヨガをやっている中で
アーユルヴェーダを知ったのは自然なことでした。
ヨガは身体を使うことで、アーユルヴェーダは食事療法や解毒の方法。
生活方式などを整えることで、心身がベストな状態を保つようにします。
肌が弱いだけではなく、胃腸もあまり強くなかったり
心も不安を感じやすかったりと常にバランスをとる必要を感じていて、
ヨガもアーユルヴェーダも瞑想も、日々の食事のように
生きている間はずっと行っていくと思います」
生活の中でどのようにアーユルヴェーダを取り入れられていらっしゃるのでしょうか?
また、アーユルヴェーダと出会って、ご自身の身体や生活にどんな変化があったのか、お伺いしました。
解毒を大切に医食同源の考え方で暮らすと身体が整ってくる
「アーユルヴェーダでは、解毒がとても重要です。
アーマという毒素が溜まると病気になると言われるので、アーマをなるべく取り除けば
病気になる手前で予防できるという考え方です。
この考え方が、5000年も前からあったことに驚きます。
いくら身体によいものを取り入れても、毒素がたまっていたらスムーズに吸収ができません。
いくら身体によいものでも、過剰にとりすぎるのは意味がなく、バランスを大切にします。
それから、個人によって体質・性質が違うことに基づいているので、
たとえば甘いものが必要な人、酸っぱいものが必要な人がいます。
一概にこの栄養成分は薬です、ということはないので
自分で自分の身体の声、欲しているもの、いらないものを知ることは、
現代の栄養学とは少し概念が違うかもしれません。
毒素を除くこと、良いプラーナ(気)を取り入れることは、
どのドーシャ(体質)の人にとっても大切です。
下記の2つは生活に取り入れられるおすすめのシンプルケアです。
- 朝起きた時に、ココナッツオイルまたはセサミオイルで口をゆすぐ(オイルプリング)
- セサミオイルなどでマッサージ(アヴィヤンガ)して、しっかり汗を出す
でも子どもたちは「オイルが口に入るのは気持ち悪い」となかなかやってくれませんが…。
これを毎日すると口臭防止にもなるし、歯茎の強壮や虫歯予防にもなるんですよ。
あとはアーユルヴェーダは医食同源の考え方なので、たくさんの薬草ハーブがあります。
そしてそれを少しずつ毎日摂取することで、ほんとうに身体が整ってくるのです。
サプリメントというのは5000年前からあったということですね。
解毒の大切さを知って、自分が必要としている食事や薬草をとることで、
心と身体が元気に軽くなってきた感じがあります。
アーユルヴェーダではサットヴァの時間(もっとも純粋性が高い時間)である
朝6時前に起床して、オイルうがいをして、白湯を飲んで、
アヴィヤンガ(オイルマッサージ)を行うことを薦めていますが、
わたしは朝寝坊なのでこれが本当にできないんです。
これができたら、もっといろいろと安定するのかなあなどと思います」
今回のレッスンにも用いるアロマの効果や特徴についてもお伺いしました。
植物が健やかに生きるための戦略が、天然精油の作用
「植物の花や実、葉を抽出して得た天然精油には、殺菌作用や炎症鎮静作用があり、
それは植物が健やかに生きるための戦略です。
たとえばフランキンセンスやミルラ、エレミ、カルナバロウ、ベンゾインなど
樹脂のエキスは樹木に傷がついたときに、傷を再生するために分泌します。
こういう精油は皮膚再生作用があります。
スパイシーだったり、エキゾチックだったり、とても奥が深い香りがします。
太陽をめいいっぱい浴びて実った果物の精油、レモンやグレープフルーツ、
ユズやオレンジ、ベルガモットなどはジューシーで快活で元気を与えたり、
不安を取り除いたりしてくれます。
これらは果皮から分泌されるワックスであることが多いので、
果実を外から守る効果=抗菌作用や保護作用もあります。
ローズやラベンダー、ゼラニウム、ヘリクリサム、ミモザなど花の香りは
媒介主の動物や昆虫をひきつけるためかもしれませんが、
花の香りは人間に祝福をもたらし、愛情や感受性を豊かにしたり、
幸福感を与えてくれます。
大空へ向かってまっすぐどっしりと伸びていく木の精油、サンダルウッドや
シダーウッド、ヒノキなどは心を整えて、
成長していくのを助けてくれます。
種から抽出する精油は生命力そのものなので、
ジュニパーベリー、フェンネルやキャロットシードなどの精油は
自分がどうしたいかわからなくなっているときに自分の本質につなげてくれます。
また根っこは大地から生命力を吸い上げる役割なので、
ジンジャーやベチバー、ターメリックなどの精油は
心や身体を強く安定させてくれるのです」
自分に合った香りは、どのように見つけたら良いのでしょうか?
嗅覚の本能で選ぶも良し、抽出する植物の部位に着目するも良し
「臭覚は、自分にとって毒ではないか、腐ってないか、などを識別するための
生存本能に近いものです。
人は香りを本能的に感知しているので、言葉で表すのはとても難しいものです。
香道で聞香という文化があります。
もし手持ちの精油が何本かあるのでしたら、ラベルを隠して、
どの香りが好きか感じてみる時間をとってみてください。
そうやって前知識なしにブラインドで、実際に香りを確かめてみると
自分はこの香りが好きだったのか、とびっくりすることもあります。
あとは、どの部分から抽出するかに着目して選ぶのも面白いです。
植物の役割としてみると
花は顏や生殖器、葉は呼吸器、根は栄養を吸収するところです。
そうすると花の精油はオーラや愛情に関係すること、生殖器に関係することに
影響したりします。
葉の精油は呼吸を深くしてくれたり、気管支を清浄してくれたり、
空気を清めてくれたりします。
根っこの精油は身体を強壮してくれます。
花束の種類は無限にあるように、この植物とこの植物を組み合わせたら
変な香りになるということはほとんどありません。
自由に調合することは、自分のブーケを作ることと一緒です」
◆作家プロフィール MOONSOAP 代表 滝井みおぎさん
薬草や植物オイルの宝庫であるタイ北部の静かな村で石けん作りをしている
女性たちとの出会いから、MOONSOAPを設立。
現在、石けんやヘアワックスはタイの工房で、ほかの商品は日本国内で、
安全なコスメをひとつひとつ手作業で仕上げています。
世界を旅して目にしたもの、日本の四季の中で暮らす日々、
そして子供を産み育てていく中での気づきが
製品開発のエッセンスとなり、MOONSOAPのアイテムは育まれています。
- [ HP ] https://www.moonsoap.com/
今週のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。
暦のうえでは立秋が過ぎ、秋が近づいてきました。
夏の疲れが出やすい時期ですね。
病気やケガの処置を「手当」と書きますが、
まさに「手」には自らを癒す、あたたかさを感じます。
「手」づくりのアロマキャンドルのセルフケア。
身体や心と相談しながら、ホリスティックに
ご自身を癒すゆったりとした時間をお過ごしいただけますように。
また来週もインタビューは続きます。