【作家インタビュー】vol.2 花や 蔦ひつじ フラワーデザイナー 戸川麻喜子さん

【作家インタビュー】vol.2 花や 蔦ひつじ フラワーデザイナー 戸川麻喜子さん
【作家インタビュー】vol.2 花や 蔦ひつじ フラワーデザイナー 戸川麻喜子さん

作家インタビュー vol.22021.01.21

花や 蔦ひつじ フラワーデザイナー 戸川麻喜子さん

CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。

今回は「ドライフラワーのリボンリース」「ネイティブフラワーのリース」の講座を
CRAFTINGでご紹介いただいている花や 蔦ひつじ 戸川麻喜子さんの
インタビュー記事の第二回目となります。

最旬フラワーアレンジ素材のワイルドフラワーについてやリースの由来、
講座開発への思いをお伺いしています。

お楽しみいただけたらうれしいです。

ワイルドフラワー(別名:ネイティブフラワー)とは?

プリザーブド、ハーバリウムに次いで、今、トレンドなのが
ワイルドフラワーのドライを使ったアレンジ。
花嫁ブーケや「#男前スワッグ」でも話題に

ワイルドフラワーは別名ネイティブフラワーとも呼ばれ、
オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど、主に南半球に自生している花々のこと。

個性的でインパクトのある造形をもった花材が多く、
「ネイティブフラワーは、綺麗な状態でドライにできるものが多い」点も魅力のひとつ。

そして、従来のドライフラワーのイメージを覆す、こっくりとした深みのある色合いも特徴。

まるでヴィンテージのような、時の流れと自然がつくる
独特の花色に魅了される方が増えています。

海外からの輸入品がほとんどで、特にコロナ禍においては仕入れが難しい花材。
ほぼ都内の市場に限定されているとか。

戸川さんのレッスンにも
「ワイルドフラワーの花材目当てに、地方など遠方から足を運ばれる方も多いんです」

また、昨今ブライダルブーケでも話題の花材で、Instagramでも”映えブーケ”として
おしゃれな花嫁さんから大人気。
シックな装いのブーケは、大人ウエディングや
オータムウエディングのブーケとして選ばれる方も。

長時間持ち運んでも枯れるなどの心配がないことから、
海外やロケーションウエディングの花嫁さんにも好まれています。

また、男性のお料理教室が流行ったように、
男性のお花のアレンジレッスンへの参加も増加中。

「主人のインスタのフォロワーさんも男性が多いんです。
#男前スワッグ の投稿も増えてますよね」

定年退職後に、家族に喜んでほしくて作品づくりに参加した、と
戸川さんのレッスンにいらした男性の方も。

「いわゆる女性だけのキラキラした空間ではないところも、うちのオリジナリティだと思います。
男性も気負いなく、ワークショップに参加して楽しんでいただいていますよ」

▲店先のワイルドフラワーのスワッグもおしゃれでかっこいい仕上がり

レッスンのアレンジでもあるリースの由来とは?

リースの起源は古くローマ時代から。
「永遠の幸せ」「魔除け」の意味があり、家族全員の幸せを願って飾る
クリスマスリースが日本では最も一般的

戸川さんにはCRAFTINGでドライフラワーでつくるリースのレッスンを
ご紹介いただいていますが、『リース』の意味を少しだけご紹介します。

リースの歴史はギリシャ・ローマ時代にはじまるとされ、
花や枝、葉などで作った丸い輪を酒宴の時に用いたり、
賞として授けたことに由来するそうです。

英語では『wreath』、『花輪、花冠、冠、輪状のもの』を意味し、
終わりのないそのかたちは『永遠の幸せ』の象徴。

玄関にリースを飾るのは
『家族が出かけたら必ず帰ってきますように』
『永遠に途切れることなく、家族全員の幸せがずっと続きますように』
という願いが込められているといわれています。

また、リースに装飾として用いられた固く結ばれたリボンの意味は『魔除け』。
リースを玄関など入り口に飾ることが多いのもうなづけます。

日本ではクリスマスリースが最もポピュラーですが、
家族の幸せを思い、好きな花材とリボンでリースを手づくりする時間と
愛らしい丸いかたちは、飾る人の心もまあるく、
やさしい気持ちにしてくれる気がするのは私だけでしょうか。

▲家族の幸せを願って手づくりするオリジナルのリースは、味わい深い作品に

講座へのこだわりについてお伺いさせてください。

『ドライフラワーのリボンリース』―15種類もの花材を使って

「お花屋さんのレッスンだから、花材だけのお値段で」

「『ドライフラワーのリボンリース』のレッスンは、店舗でレッスンしているときの
経験を元に、お客様がお好きな花材をたくさん盛り込み、みんながかわいいなと思って
いただけるデザインを目指しました。

講座を発売した時期の夏にふさわしい爽やかなアレンジに仕立てていますが
ドライフラワーのリースですので、一年中飾ってお楽しみいただけます」

花材もグレビレアアイバンホー、カスミソウ、アジサイ、ソーラーローズ、スターチス、
ペッパーベリー、ホワイトデージー、ヘリクリサム、センニチコウ、ベルガムナッツなど、
15種類使ってボリュームたっぷりに。

「うちのコンセプトは『お花屋さんがアレンジのレッスンを教える』ですから、
店舗でもレッスン料はいただいていません。
すべて花材のご料金だけなんですね。

ですから、CRAFTINGのリボンリースのレッスンも同じく花材だけの料金です。

おうちでボリュームたっぷりのドライフラワーのリースを楽しんでいただけたら」

▲幅約28センチ、自然の花や実を贅沢に使ったリボンフラワーのリースは、ナチュラルで優しい雰囲気に

『ネイティブフラワ―のリース』―グルーガンをつかわない提案を

ライブレッスンのときのように、
『つくる道のり』を楽しんでほしかった。

「『ネイティブフラワーのリース』は最初、クリスマスリースとして販売を開始しました。

クリスマスらしい木の実やコットンフラワー、ゴールドのグレビレアの葉などを贅沢に使った
ドライフラワーのリースアクセントに、ネイティブフラワー(ワイルドフラワー)を組み合わせています。

リボンリースのレッスンは、ドライのアレンジでは一般的な
グルーガン(※DIYや手芸などで用いられる接着剤を熱で溶かして噴出する道具)で
花材を貼っていくプロセスをご紹介しましたが、
いつも工程がワンパターンだともったいない、お客様が飽きてしまうのではないかと考え、
「ネイティブフラワーのリース」では、最初に4つの花束をつくって
リースのベースに止めていくスタイルに。

せっかくならもっと『つくる道のりを楽しんでほしい』、
そんな思いで新しい提案をさせていただきました。

自分の手仕事の加減で、リースを作りこんでいくプロセスをお楽しみいただけます」

グルーガンで作ったほうがラクだし、近道。
でも、『つくる道のりを楽しんでほしい』という戸川さんの提案は、
店舗で生徒さんといっしょに対話を大切にしながらレッスンしているかのような、
わくわく感もいっしょにレッスン動画に盛り込まれています。

また、コロナ禍のため花材の仕入れにもご苦労があったとか。

「折れづらいドライフラワーというのはないですから。

箱に入って、一定の数が揃えられる花材で。
コロナの悪条件が重なり、入荷が困難な時期もあって
仕入れの数が足りるのか、といったことも考えないといけませんでした。

できるだけ、たっぷりボリュームのある花材で
おうちでも楽しんでいただきたかったんです」

完成品を買うだけでは手に入らない、
手づくりするプロセスそのものが、その人だけの物語。

そして、戸川さんのように
つくる楽しさをもカリキュラムに盛り込んでくださる作家さんとの出会いが、
ハンドメイドが好きになるはじまりのような気がします。

▲ネイティブフラワーのリース講座の完成作品。プロカントな風合いの壁にお似合い

▲ネイティブフラワーのリースの花材。個性的な造形美が絵になる

▲ネイティブフラワーのリースはグルーガンを使わず、花を束にして止める手法を用いる

お花やお客様と接するときに大事にしていることを教えてください。

お花と接するときもお客様と接するときも基本スタンスは同じ。誠実に、丁寧に

「お花と接するときは、基本的な知識の技術ありき、ですね。
デザインうんぬん、の前に、ベーシックなお花の扱いを大切に、丁寧に、
あくまで『花』を中心に考えています」

お客様と接するときも、基本のスタンスはいつも同じ。

「お客様のご要望を、誠実に丹念にお伺いすることですね。
何を求めているのか、
何をつくってほしいのか、どうしたいのか」

戸川さんの言葉に迷いはありませんでした。

「お客様のご要望をきちんと汲み取らないと、場合によってはクレームになったりするんです。

『かわいいお花をつくってほしい』といわれても、人によって『かわいい』は異なります」

バラがかわいい人もいれば、ガーベラがかわいい人もいる。
白とグリーンの組み合わせがかわいいという人もいる。

「特にうちのお店の“明るい”感じは他店の“明るい”とは全然違うので(笑)」

店頭で直接ヒヤリングすることができないコロナ禍の今、
インスタのDMなどを活用して、何度も何度もやりとりが続くのだとか。

お客様のご要望に丁寧に寄り添いながら、いつの間にか
「花や 蔦ひつじ」さんらしさが宿ったアレンジに「仕上がっていく」。

「うちは流れるように切り花を売る花屋さんとは違って、
フルオーダーのお店ですから。

お客様といっしょにこのお店の雰囲気も
出来上がっていった感じじゃないでしょうか」

戸川さんは、母の日にブルーと白のカーネーションを買ってあげたいと思った
幼い頃のまま今日まで、
お花を贈る人と贈られる人、両方の気持ちを大切に、
お花屋さんをまっすぐな気持ちで営んでいらっしゃいました。

第二回目のCRAFTINGマガジン、ご覧いただき、ありがとうございました。
今日はこちらでおしまいです。

第三回はお花アレンジ初心者さんへのアドバイスや
リースのおすすめの飾り方、お手入れ方法をご紹介します。

▲フラワーデザイナーの戸川麻喜子さん。お店のInstagramのフォロワー数は4,3万人(※2020年12月末時点)


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