作家インタビュー vol.32021.01.28
花や 蔦ひつじ フラワーデザイナー 戸川麻喜子さん
1月も残り4日(!)となりました。
お正月あけて、もう一か月が経とうとしているなんて、オドロキです。
依然としてコロナ禍が続きますが、皆様、お変わりないですか?
今回は「ドライフラワーのリボンリース」、「ネイティブフラワーのリース」のレッスンを
CRAFTINGでご紹介いただいている
花や 蔦ひつじ 戸川麻喜子さんインタビュー記事の最終回(第三回)となります。
ドライフラワーのアレンジや初心者の方に向けたアドバイス、
アレンジの飾り方、お手入れの方法、そして最後に
ユーザーの皆様へのメッセージをいただきました。
お楽しみいただけたらうれしいです。
お花のアレンジ初心者の方に、アドバイスをお願いします。
「正解にとらわれず、植物のように自由に。ご自身にとっての心地よさを探すお手伝いができたらいいなと」
初心者の方がレッスンでよく迷われるところはありますか? とお尋ねしてみました。
「『おおよそ』のところですかね。
5㎝で、とお伝えすると、その5㎝にこだわって
手が止まってしまう方が多いんです。
正解にこだわりすぎて、少し強迫観念のようになってしまうというのでしょうか?(笑)
『おおよそ』でいいんですよ、とお伝えしています。
植物は同じ花材でも、少しずつかたちも大きさも違います。
とても自由ですよね。
茎の曲がり方も、全く同じということはないわけです。
レッスンのときも、逃げ道をつくる、とでもいうのでしょうか。
「こうじゃないといけない」ということではなく、
できるだけ幅を持たせたお伝えの仕方を心がけています。
ご自身にとってのいい塩梅、心地よさを探していただけたら」
私たちは日常生活のなかで、どうしても正しさを求めがちだったり
人がいう正解を自分の真ん中に、いつの間にか置いてしまっていることがあります。
「完成品を買う、ではなく、つくるという選択をしているからには、
ハンドメイドの楽しさ、自分らしさを肩の力を抜いて楽しんでほしい」
植物のように自由に、のびやかに、すこやかに。
背伸びしたくなるような、深呼吸したくなるような、花と向き合う時間を。
戸川さんの言葉には、植物と同じような力強さとおおらかさがありました。
▲お花のレッスンは自然の素材が相手。植物ごと葉の大きさ、枝の太さ、長さなどすべて少しずつ違う
おすすめの飾り方、お手入れの方法について教えてください。
作ってから、リースが映える場所を選ぶもよし、飾る場所ありきで作るもよし
「ドライフラワーを長持ちさせる方法は、直射日光、湿度とホコリを避けること」
「ドライフラワーのリースは一年中楽しんでいただけます。
飾る場所は、どうかお好きな場所で。
ドライフラワーを長持ちさせたい方は、直射日光や湿度を避けた場所がいいですが、
どうしても飾りたい場所があって条件がそろわなければ、場所優先でもよいと思います。
また新しいものを作ればいいですし。
自由に、お好きに楽しんでいただけたら」
実際、あえて屋外に飾る用のリースをつくりに
レッスンにお越しになる生徒さんもいらっしゃるそうです。
ゲストのお出迎えも華やぎ、家族にとっても癒しの玄関に。
そんな暮らしの風景が想像されます。
また、家の中の白い壁をワイルドフラワーのリースで彩れば、
都会的で洗練された雰囲気の花材と、くすみきれいな色合いがコントラストになって
インテリアに奥行きとこなれ感が生まれます。
昨今はリモートワークが進み、おうち時間が長くなっていることもあってか
壁にドライフラワーのリースやスワッグを飾る方も増えています。
あくまで主役は、飾るお花ではなく、お花のアレンジをつくる人とその人の暮らし。
「飾り方にも正解はありません。自由でいいんです」
そして、気になるお手入れ方法ですが、
「パソコンのキーボードのホコリ対策に使うスプレー(エアダスター)をおすすめしています。
最初、別の場所でスプレーの噴射の強さなどを確かめてから
お使いになられると安心ですよ」
▲花や植物を束ねて飾るスワッグがお部屋にあるだけでナチュラルな雰囲気に
▲花材の仕入れや店舗内装はすべて戸川さんのご主人が担当。戸川さんご夫婦のセンスが光る
最後に、ユーザーの皆さんへメッセージをお願いします。
お花が好きな方が、お花に好きなだけ触れて、没頭できる時間になれば
「私は一時、大分県に引っ越していた時期があったんです。
子どももまだ小さくて、子育てにかかりっきりな毎日で、
でも、はじめての土地には親戚も友達もいない、方言もわからない。
当時は心細かったですね。
そんなときでも、やっぱり好きなことに没頭する時間に、
気持ちが支えられました。
好きなものに没頭する時間って気持ちもあがりますし、
心がほぐれる時間にもなると思うんです」
今回のCRAFTINGのレッスンは、コロナ感染のリスクの少ない
皆さんのおうちで、動画で楽しんでいただけます。
「ご自身がつくる過程を楽しめるのはもちろん、
つくった作品はご家族にも喜ばれる。
そして、家族に喜ばれるとまたご自身にもうれしい気持ちが生まれる。
そんな幸せがつながっていく時間にしていただけたらと思います」
取材に明るく丁寧にお答えいただいた戸川さん、ありがとうございました。
今週のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。
次回は刺繍作家マカベアリスさんのインタビューをお届けします。
皆様、どうか楽しい週末をお過ごしください!
▲ワークショップ用の黒板にはリースの設計図のような言葉が並ぶ
▲こぼれるような笑顔がステキな戸川さんに感謝の気持ちを込めて