【作家インタビュー】vol.6 刺しゅう作家 マカベアリスさん

【作家インタビュー】vol.6 刺しゅう作家 マカベアリスさん
【作家インタビュー】vol.6 刺繍作家  マカベアリスさん

作家インタビュー vol.62021.02.18

刺しゅう作家 マカベアリスさん

CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。

今日は「二十四節気」の「雨水(うすい)」。
降る雪が雨に変わり、雪解けが始まる時期という意味があるそうですが、
今日の東京はとても寒いのです。
皆様のお住まいの地域はいかがですか?

今週も刺しゅう作家のマカベアリスさんにお話しをお伺いします。

刺繍キットづくりに込めた思い、初心者さんへのアドバイスをお伺いしました。
マカベさんのインタビュー記事の最終回です。
どうぞおつきあいいただけたら嬉しいです。

刺繍キットづくりに込めた思いについてお聞かせください。

糸と布のコントラストを美しく、少し大人っぽい仕上がりに。
「どのキットも、ステッチは基本的な技法を使っています」

マカベアリスさんの「布と糸の色合わせ」には誰もが憧れ、魅了されます。

CRAFTINGでは、4つの刺繍キットと6つの作品を作りながら
マカベアリスさんの刺しゅうのテクニックが学べるレッスンを
ご紹介いただいていますが
マカベさんセレクトの、抑えた色味の糸と布(※材料セットの素材)は
完成した作品はもちろんのこと、つくる途中もうれしくなる美しさ。

ファンの方々も
「シックでどこかノスタルジックな雰囲気」
「自然な色使いがステキ」
「大人っぽい仕上がり」
「控えめななかにも華やぎのある糸と布のコントラスト」と
さまざまな表現でその表現力の豊かさをコメントされることが多い、マカベさんの作品。
刺繍糸と布選びに迷われることはないのか、お伺いしてみました。

「とても迷います(笑)。いつも試行錯誤しながら選んでいます。
刺繍糸はお気に入りのメーカーさんの色がだいたい頭に入っていますので、
赤、青、といったカラーごとに箱に入れてある糸のなかから組み合わせています。
(※vol.4のインタビューでもお伺いしました)

『風にゆれる植物の巾着バッグ』の布は、悩んだ末、あえていつもなら使わない
コーラルピンクのリネンに挑戦してみました。
全体の雰囲気が可愛らしすぎないように、
刺繍糸は生成り、ピンク、グリーンの3色のみを使って少し大人っぽく仕上げています」

▲コーラルピンクのリネンに3色の植物刺繍が並んだマカベさんらしい刺繍の世界
(『風にゆれる植物の巾着バッグ』より)

「『摘んだ野の花のポーチ』は糸の色が映えるように、黒のリネンを使い
糸はふっくらと仕上がるようにウール糸を選びました。

日常使いするポーチですから、マチも大き目に(7cm)、
表と裏は図案もそれぞれ別に、25番刺しゅう糸で作るタッセルを付けて
少しおめかしした感じの作品にしました」

つくる途中も、つくったあとも、ずっと楽しく長く楽しめるように。

作り手の私たちに思いをめぐらせてくださった
マカベさんのあたたかさがたくさんつまったメイキングストーリー。

アートを日常使いにするような、やっぱりとても贅沢な気持ちになります。

▲落ち着いた発色が美しいイギリス・アップルトン社のウール糸を使って
(『摘んだ野の花のポーチ』より)

初心者さんへのアドバイスを、ぜひお願いします。

とにかく図案をキレイに写すことで仕上がりも美しくなります。
あとはうまくいったときに、なぜうまくいったかを振り返ること

コロナの影響でおうち時間が長くなる昨今。
CRAFTINGで刺繍をはじめてみたいという方に、
マカベさんからアドバイスをいただきました。

「はじめての方は早く刺繍を刺したくて、
図案を写す工程を急ぎがちになってしまいますが
図案をキレイに丁寧に写すと、仕上がりも美しくなります。

CRAFTINGでご提案しているキットの刺繍の技法は
どれも基本的なものばかりですので、難しくありません。
もしわからないところは動画でもご覧いただけますし。

あと、うまく刺せたときに、どうして今回はうまくいったのかな? と
振り返ることも大切なんじゃないかと思っています。

一歩一歩ですが、そういうプロセスを大事にしていくと自分が納得できて
楽しめる作品づくりにつながっていくのではないでしょうか」

一針一針進めながら、また時折、それを振り返る。自分と対話するように。

刺繍糸で図案を描いていくと、途中何度もそのふんわりした手触りに癒されるのですが
過去も未来も考えず、家族や職場のなかでの自分の役割にもとらわれず、
目の前にある今、ありのままの自分と話す機会にも
ただただ癒されているのかなと気づかされます。

▲アウトラインステッチやフレンチノットなど刺繍の基本が学べる草花のかべかざり
(『マカベアリスさんの草花の刺しゅうレッスン』より)

▲「FLOWER」を草花モチーフで描いた作品で放射状の花をきれいに刺すときのコツを学ぶ
(『マカベアリスさんの草花の刺しゅうレッスン』より)

インタビューの最後に、お伺いしてみました。
コロナ禍の今、手づくりをするということ。
マカベさんはどのようにお考えですか?

「手を動かすことで救われ励まされたというご経験を
話してくださったお客様のお話しに通じるところがありますが、
(※vol.5のインタビューでお伺いしました)
手づくりすることは、今を乗り越えていく『手立て』なのではないか、と思います」

植物の図案作品を多く手掛けておられるマカベさん。
一番お好きな植物をお聞きしたところ、「夏椿」とお答えくださいました。

6月~7月初旬に咲く、5枚花弁の白くて愛らしい夏椿は
別名を沙羅樹(シャラノキ)といい、
仏教では、釈迦が沙羅双樹の下で涅槃に入ったとされていますが、
日本では夏椿がこの沙羅双樹と誤認されたといわれているそう。

その可憐さのなかにも清々しく、凛とした美しさをたたえる聖なる花は
まるでマカベアリスさんの作品と、今回お伺いした宝物のようなお話しの
最後にふさわしく思えましたので、こちらでご紹介させていただきました。

今回のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。

「雨水に雛人形を飾り始めると良縁に恵まれる」そうで、
我が家の小さなお雛様と、今晩は久しぶりの対面なのですが、
桃の花を買って帰ることを忘れないようにしないと…。

今日もあたたかくしてお過ごしください。

来週からは、
ティータイムのテーブルコーディネートとマナー』講座をご紹介いただいています
二本柳志津香さんにお話しをお伺いします。

▲一つ一つの質問に真摯にとても丁寧にお答えくださったマカベさんに、感謝の気持ちを込めて


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