【作家インタビュー】vol.8 一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会代表理事 二本柳 志津香さん

【作家インタビュー】vol.8 一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会代表理事 二本柳 志津香さん
【作家インタビュー】vol.8 ー般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会代表理事 二本柳 志津香さん

作家インタビュー vol.82021.03.11

一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会代表理事 
二本柳 志津香さん

CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。

今週も、一般社団法人テーブルウェアスタイリスト連合会(略称:TWSA)
代表理事 二本柳志津香さんにお話をお伺いします。

今回は、アトリエへのこだわりやCRAFTING講座への思いをお伺いしました。
どうぞお付き合いいただけたら嬉しいです。

アトリエへのこだわりを教えてください。

パリの空気感を取り入れ、職人さんの手づくりの良さを味わえるとともに、お越しになる方が緊張せずリラックスできる空間にしたかった

こちらのアトリエは棚、カーテンなどのインテリアをはじめ、
グレーを基調したフレンチシックな空間にたくさんのフレッシュな花たち。

とても居心地の良い空間ですね。

こちらのスタジオを作られる上でのコンセプトなどを
お聞かせいただけますか?

「私が社団法人を立ち上げた際、最初のオフィスは
デザイナーズマンションのテナントでした。

ちょうどその頃、私の住まいから程近いところに
有名なブランドさんがコンセプトショップをオープンされたんです。

1Fはカフェ併設のパン屋さんと、葉物がたくさんあり
グリーンや拘りの花々が並ぶこれまで見たことがない生花店で、
店内にはカッコいい什器にユニフォーム。

カフェに座り、そのお花屋さんを眺める事が
一番の私の楽しみと言っても過言ではありませんでした。

社団法人を立ち上げたばかりで、大手企業の店舗リノベーションや
撮影の仕事に奮闘していた頃です。このお花屋さんのリラックス感、
それでいて洗練されたカッコいい雰囲気は何なのかなぁ…?

煌びやかでゴージャスなものと多くの方が思われている
テーブルコーディネートの世界を思い浮かべつつ、
でも私が本当に求めるのはこのお花屋さんのような
リラックスできてカッコいい空気感なのだけれど…。

いつしかそんな事を考えるようになりました。

その後、お店の事を調べているうちに
フランス・パリ在住の1人のフルーリストを知りました。

カフェラテを飲みながら生花店を眺める日々が続きましたが、
いつしかそのフルーリストに会ってみたいと思うようになり、
一人パリまで旅に出たのは2017年の事です。

どうせ行くならと美術学校のワークショップや、
画材屋さんがやっているワークショップ、
そしてメインイベントであるそのフルーリストの
フラワーアレンジメントのレッスンと
先生が案内する世界最大級のランジス市場見学など、
朝から晩まで予定を詰め込み自分で作った
伝えたいこと単語帳」を握りしめいざ単身パリへ!

夢のような時間でした。

憧れてやまなかったフルーリストの先生は
私の想像以上にカッコいい女性で、
ラッキーな事にフラワーレッスンやランジス市場見学の他、
テーブルスタイリングに役立つのでは? と
生地街に連れて行ってくださったり、
インテリアショップ巡りやカフェでのお話など
とても貴重で有意義な時間をいただきました。

このような話をした後で、私のアトリエをご覧いただくと
もうお解りかもしれませんが、
“J先生にあこがれて”というサブタイトルが
付きそうな感じではないでしょうか。

私が眺めていたあの空気感をお越しいただく皆様に
少しでも味わって欲しいと考えて、空間作りをしています。

ラグジュアリーな雰囲気のテーブルコーディネート教室は
たくさんありますが、ウチの空気感はそれとは違うと思うのです。

もともとDIYやアンティーク家具が大好きで、
フリーランス時代はクラフトとテーブルスタイリングを
MIXした独自スタイルのレッスンを開催していました。

このアトリエにも私が手作りした物がたくさんあります。

ドアのシャビー加工も私がしています」

▲ランジス市場、画材店の前にて

「最初に1人でパリに行ったとき、衝撃を受けたんです。

街並みや古いものを大事にする文化とか。
日常的に花のある暮らし、緑がある暮らしに。

東京生まれの人は私の世代でもテーブル文化で育っていると思うのですが、
私は大正時代から続く和菓子屋で育ち、座卓で抹茶を飲むような家で
茶道の先生方がお茶会の為にお選びになった器の作家さん名や、
焼き物の名前が日常的に飛び交う環境で過ごしてきたこともあり、
ヨーロッパの文化がとても新鮮に映りました。

帰国後、アトリエ施工に向けて走り出した先生。

「ハウスメーカーを探し、一人でショールームに行って(笑)。
これを建てたい! と自分の描いた絵やスクラップブックを見せました。

もうここまで来ると、私がいつも店舗装飾で
デザイン画や空間の構成アイテム表を出しているのと
変わらないような気がしますね。

お断りされてしまったハウスメーカーも多かったのですが、
最終的にこのアトリエをお願いする事になったハウスメーカーの方が
『できます!やります!一緒にかわいい家を建てましょう!』
と言ってくださったんです。

センスの良い女性の営業さんと、イタリア帰りの女性建築士さんと一緒に、
アトリエにお越しいただく方のことを第一に考えて建てました。

テーブルスタイリングを撮影したときの窓がサッシ窓だと美しくないので、
ヨーロッパ仕様の国産木製サッシ窓にしてシンメトリーな配置にも拘りました。

しかしながら、和食器の知識学やスタイリングを行なうことも多いので、
和食器が美しく見える採光を考えた窓の位置、
照明も、モダンな青みがかった照明と、アンティークの食器が美しく見える
キャンドルの光のような温かみがある照明の2種類を付けています。

スタイリングに合わせて照明の選択が出来るようにもしていますが、
作品作りの際はやはり自然光が美しく入るのが一番。
作品撮影も美しくできるように計算しています。

授業中も皆さん、照明を付けたり消したり、ご自身でやっていただきながら、
各々で作ったテーブルスタイリングを写真に収められていますよ。

このアトリエでは皆さんが緊張されることなく、
自分のアトリエのように使って欲しいという想いがありました。

そして職人さんの手作りの良さを味わえるような空間にしたかったんです。

その想いが皆さんに伝わったのか、卒業したテーブルウェアスタイリスト®が
撮影に使うお皿や小物を借りに来たりと、
アトリエには気軽な出入りが頻繁にあります」

▲和食器と洋食器が美しく配置されるアトリエ

▲誌面やWEBを中心に、緑があるくらしを提案する二本柳先生が拘ったウィンドーボックス

今回のCRAFTINGのレッスンに込めた思いを教えてください。

「今回は対面のレッスンではないのでテキストも
今回のCRAFTINGのレッスン用に内容、構成共に見直し、
より分かりやすいようにすべて変更しました」

「普段ジュニアテーブルウェアスタイリスト®の講座は
全国にある支部どこでご受講いただいても、
お花はフレッシュ(生花)で授業を行なっています。

今回、生花を送ることは出来ませんが、
フランス語で『田園風の』という意味を持つ
ナチュラルな雰囲気のシャンぺトルブーケが作れるよう、
アーティフィシャルフラワーをキットでお届けします。

CRAFTING用に見直ししたテキストは、
動画と合わせて使いやすい内容となるように作りました。

受講者の皆様に直接お会いすることはできませんが、
このアトリエの空気感と共に皆様に話しかけるような
気持ちを込めて作っています。

カメラマンさんにも相談して、自然光の感じを取り入れ、
華美すぎない世界にこだわっています。

動画やテキストに出てくる写真はすべてそのようにして
撮影したものとなりますので、ご自宅で動画を観ていただき、
花のある暮らしや緑のある暮らしをイメージしながら
リラックスしてご受講いただければと思います」

あらためて、どのような方にこの講座をご受講いただきたいですか?

「ポーセラーツのサロンをされている先生や
ものづくりや料理教室をされている先生はもちろんの事、
「テーブルコーディネートが好き」、
「食器が好き」、「お花が好き」、
私のように「ライフスタイル全般が好き」、
アンティークや骨董が好き、という方に
ご受講いただければと思っています。

「暮らしを彩る」、「暮らしを楽しむ」という世界を
知っていただけるとうれしいです。

テーブルウェアスタイリスト®の講座では、これまでに
「集客の向上のためにプラスアルファで
テーブルスタイリングを修得して教室の目玉にしたい!」
というお料理教室の先生、
「誌面やCMで活躍するスタイリストになりたい!」
「自分自身の仕事のプラスアルファに!」
といった夢や目標を持たれた方々にもご受講いただき、
実現されている方が多くいらっしゃいます。

そのことは、私にとって強い励みになります。

活躍するたくさんのテーブルウェアスタイリスト®が私の宝物です。

今回は通信講座ということで、全国の方とつながるチャンスをいただきました。

私達の仕事はスタイリングをお教えするだけではなく、
食器の取材を受けたり食器に関する記事を書いたり、
お店の飾り付けをしたり、レストランのメニュー撮影の
スタイリングを依頼されたりなど
多方面で認定資格を持ったメンバーに活躍していただく機会を
創出するということもあります。

CRAFTINGをご受講いただいた皆様のなかから、
テーブルウェアスタイリスト®として活躍される方が
各地で増えていくことを願っています。

▲ジュニア・テーブルウェアスタイリスト®講座でお届けするキットは、通常生花のシャンペトルブーケで彩るテーブルレッスンをアーティフィシャルフラワーで実現させる為、葉物の動きなどに拘って選んだものとなっています

▲ジュニアテーブルウェアスタイリスト®講座では和・洋のテーブルスタイリングを学べるのはもちろんの事、プロップスタイリングと呼ばれるスタイリング方法も学べます

ジュニアテーブルウェアスタイリスト®講座は
8年前からスタートし、これまで数回の大きなリニューアル、
講座内容の見直しを行なっています。

8年前に始めた頃は、テーブルスタイリングや
食器知識の基礎部分を講座内容にしていました。

しかし、私たちの仕事として、企業様の広告やカタログ撮影、
書籍の撮影でのスタイリング機会が増え、その時の仕事内容や様子を
WEBに実績として掲載したり、ブログに書いたところ、
テーブルウェアスタイリスト®の講座で
テーブルスタイリングや食器の知識だけではなく、
私たちが広告や誌面の撮影で行なっている
プロップスタイリングも学びたいという声が、とても多くなりました。

撮影のスタイリストになりたい方のご要望としてはわかるのですが、
お料理教室やポーセラーツ教室をやっている方がどうしてだろう? と
感じたので、聞いてみたんです。

そうしたら、
InstagramをはじめとしたSNSで教室も集客する時代だから、自分の作品やお料理を
私たちが広告でやっているようなスタイリングにする必要があると
受講生の方がおっしゃって、なるほど! と。

このお話をきっかけに、ジュニアの基礎的なテーブルスタイリングだけでなく、
プロップスタイリングの基礎練習をしていただける内容も盛り込んでいます。


もちろん、テーブルスタイリングや
プロップスタイリングテーブルフラワーは
上級講座(ブロンズ/シルバー/プロ)に進んでいただくと、
より難易度が高い各々のスタイリングを学んでいただけるよう
カリキュラムを1年かけてリニューアルしていますが、
ジュニア・テーブルウェアスタイリスト®の講座では
基礎をしっかり学んでいただけるようにしていますので」


▲資格取得ができるジュニア・テーブルウェアスタイリスト®講座では、天板スタイリングボードを使用した基本のスタイリング方法も学べます

▲ポジティブなオーラとモノづくりへの情熱にあふれた二本柳さんに、感謝の気持ちを込めて


今回のCRAFTINGマガジンはこちらでおしまいです。

春の訪れを感じさせてくれる食材が食卓に並ぶ季節となりました。
今年はおうちでお花見を楽しまれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今週も、ステキな週末をお過ごしください。


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