作家インタビュー vol.102021.04.01
刺しゅう作家 maki maki 菅野絵里香さん
CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。
今回は、CRAFTINGで「リボンと刺しゅう糸で繊細に描く花刺繍」の
レッスンをデザインしてくださったmaki maki 菅野絵里香さんをお迎えします。
繊細でアンティークのような落ち着いた色使いや
柔らかなあたたかみのある作品づくりが魅力的なmaki makiさん。
刺しゅうを始められたきっかけや、デザインするときに
大切にされていることなどをお伺いしました。
刺しゅうとの出会いは、怪我のリハビリ、そして母の言葉
刺しゅうを始められたエピソードはとても意外なところにありました。
「数年前に右肩を怪我してしまい、その時は鉛筆も持てない状態になりました。
リハビリする際に針なら持てたので
「刺しゅうをやってみたら?」
と母に勧められた事がきっかけとなり、刺しゅうとその時に出会いました」
初めは好きな図案を見て、クロスステッチを主とされていたそうですが、
絵のように描けるフランス刺繍を知り、
2014年からは自分オリジナルの刺繍を描くように。
「益々刺繍の魅力にはまっていった」と教えてくださいました。
▲刺しゅう中の手元は、布にまるでお花が咲いたよう
今回CRAFTINGでご紹介いただいている講座の技法でもある、
リボン刺しゅうを始められたきっかけについてもお尋ねしてみました。
作品に立体感や奥行きをとの気持ちから、リボン刺しゅうの世界へ
「ビーズやスパンコールなどを取り入れると
堅い印象になってしまうので、刺繍の糸の自然な柔らかい
温かみを残す事にこだわりました。
今の作品を壊すこと無く表現を広げられないかと
模索していた所、図書館の本でリボン刺繍の事を知り、
これなら今の作風にも合い、表現の幅も広がりそうだと思い
2018年から少しずつ作品にリボン刺繍を取り入れました。
繊細なラインの刺繍とリボン刺繍で、より柔らかく、
そして立体感も生まれ、作品により深みが出て
今では欠かせない物となりました」
▲柔らかであたたかい色合いと華やぎのある図案のブローチ
刺しゅうは小学生の時のクラブで少しやった程度だったとmaki makiさん。
リハビリの際、どうやって刺しゅうを学ばれたのでしょうか?
手芸好きの母に聞いたり、本を見ながら刺しゅうを学んで
「リハビリの時に久しぶりに針を持ったぐらいで
それまで手芸は全くやっていませんでした。
手芸好きの母のおかげで、刺繍糸も沢山家に有り
それを借りて本を見ながら、分からない所は
母に直接聞いて教えてもらいました。
刺繍上達の近道は、実際に人から教えて貰う事だと思います。
なので、作家さんの実際の作り方が動画で見られるCRAFTINGは
上手くなりたい方や、刺しゅう本を見て挫折している方にはオススメの内容だと思います」
▲丁寧で物語のある、ワクワクするような美しい図案
デザイン画がとても素敵なmaki makiさんですが、
元々絵の勉強をされていたのでしょうか?
美術学科では銅版画を専攻「絵や物を作る事が小さい頃から大好き」
「絵や物を作る事が小さい頃から大好きでした。
中学、高校の時は絵画教室や画塾に通い、大阪芸術大学に入学。
在学中は美術学科で銅版画を専攻していました。
不思議なもので、ジャンルは違えど繊細な作業は
今の刺繍にも通ずる所があります。
銅版画も好きな技法のひとつで、また何年後か分からないですが
いつか再チャレンジしてみたいです」
▲手仕事が美しいリネンのハンカチ
刺しゅうをするうえでのお好きなモチーフ、世界観などもお伺いしました。
お気に入りの散歩やウィリアム・モリスや花森安治の画集をヒントに
「最近では昔のヨーロッパなどのテキスタイルや装飾、
紋章などの模様など時代の流れに変化する手仕事の良さに魅力を感じます。
アンティークの世界観を、今の時代に溶け込むように刺繍で表現したいです。
ウィリアム・モリスや花森安治の画集からデザインのヒントをもらう事があります。
二人のデザイン性や、空間のバランスの使い方、色使いに憧れています。
あと、行き詰まった時には図書館に行き、世界の刺繍を眺め刺激を貰っています」
◆作家プロフィール maki maki 菅野絵里香さん
大阪芸術大学を卒業後、2014年から刺繍制作をはじめる。
刺しゅう糸1本どりや2本どりの繊細なラインで描き
リボン刺しゅうを組み合わせて甘すぎない華やかさを
アクセントにした花や植物、動物たちの刺繍小物に定評がある。
各地の企画展に出展販売を行う傍ら、個展も開催。
『#今身につけたいハンドメイドアクセサリー150』
(小社刊)に作品を掲載。
次週は、制作時のこだわりやポイントにしていることをお伺いします。
写真:maki maki 菅野絵里香さん