【作家インタビュー】vol.15 作家 fujiiikuko ふじい いくこさん

【作家インタビュー】vol.15 作家 fujiiikuko ふじい いくこさん

【作家インタビュー】

 

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2021.05.13

vol.15 作家 fujiiikuko ふじい いくこさん

CRAFTINGをご覧いただいている皆様、こんにちは。



今週は、天然素材とオリジナルデザインで作る

タッセルレッスンをご紹介してくださった

fujiiikuko ふじい いくこさんの第三回目のインタビュー(最終回)です。



アクセサリー・タッセル・ドローイングなど

幅広く創作活動をされているふじいさん。


作品を制作される際のこだわりから、お伺いしました。


写真:fujiiikuko ふじい いくこさん



▲「綿より糸で作るタッセル飾り」レッスンの作品

 




アイデアや素材が新鮮なうちに、実際に手を動かす

「制作時はアイデアや素材が新鮮なうちに

実際に手を動かすようにしています。



そこのスピード感が失われると創作意欲が一気に萎んでしまうのと

素材を手にした時のワクワク感がなくなってしまうことが多いので、



最終的にものにならなくてもアイデアのピースとして

何かしら形として残すようにしています」


白色や生成りの作品が多いふじいさんですが、こういった色を選ばれる理由があるのでしょうか?



▲できる限り少ない色数で素材本来のモチベーションをどこまで表現できるか、実験的に制作するように

 




シンプルな生活のなかで生まれた「色を捨てる」ということ

「スウェーデンに渡るまでは色を使うのが好きだったのですが、

日々寝て起きて食べて作るというのを繰り返すシンプルな生活の中で、


色を捨てるという考えが芽生えました。

 

作品を目にした時に色のついているものは情報としてすぐに入ってくるけれど

白いものの方がより近寄ってじっくり見てもらえるのではと思い、

そういうものを作りたいと考えるようになりました。

 

あとは白というと清廉潔白で強くしなやかで柔軟性があるイメージなので

自分自身そんな人間になりたいという願望を作品に投影しているのかもしれません」


ご紹介しているコットンのお写真は、ふじいさんのスウェーデンの学校生活で

(※スウェーデンにあるカペラゴーデン手工芸学校 在学中

撮影されたもの。紡いだままの状態から撚り具合まで

同じ素材の中の幅が広くてこの時にコットンという素材に強く惹かれたそうです。


▲スウェーデンのテキスタイル工場で見つけた、コットン(Bomullとはスウェーデン語でコットン)の様々な状態の見本

▲コットン・ウール・モヘア・アルパカなど白縛りの糸で集めて織った織サンプル

 


 


 

感性のフィルターを通して表現された世界観がとてもステキなふじいさん。

ものづくりの動機となっているのは、どんな思いなのでしょうか?

 



ものづくりの根源にあるのは、想いや感情の共有

「きれいな風景を見てきれいだね、と誰かと共有するときに


私は言葉ではうまく表現することができないので、ものを作って

人に見てもらうことで共有できたらいいなと思っています。


表現に関しては、常にテーマとして思考のプロセスを大切にしています。


完成したものの美しさもあるのですが、

作り手が何を見て何を考えどう形にするのか


プロセスにこそ、作り手の癖や趣向が表れているので

そういったものを見たいし、自分も隠さず出していくようにしています。

私にとってその役目を果たしているのがinstagramです」

 

 

▲スウェーデン在住時に見つけた、表現の源のひとつでもある、美しい自然現象

 

 

お客様との交流で大切にされていること、作家活動をしていてうれしかったこと

これからのふじいさんのものづくりについて、お話しは続きます。




この手が動く限り、このままずっと作り続けたい

「いつでもお客様とはフラットな関係を築けるよう心掛けています。


常にものと向き合っているので人付き合いは苦手ですが、

好きなものを作って、それを好きと言ってくれる人であれば


共有できることも多いと思うので、作品を通じてできた友人も多いです。

 

 

作家活動をしていて嬉しかったエピソードですが、

 

作家活動を大学生の時(10年前)に始めて

私の作ったものを手にして下さっていた方たちが


作風や表現方法が変わった今でも

私の作ったものを手にしてくださることがあるので

とても感慨深いですね。



 

▲「作って売る」という活動を始めた当時の作品(スウェーデンの学校内にて)

 




当時同年代だった自分と同じように歳を取って

大人になってライフスタイルが変わっても


ずっと変わらず応援して下さっている方々いるというのは

常に大きな糧になっています。

 

 

ものづくりについては、この手が動く限りこのままずっと作り続けたいです。


願望を言えば、ファッションが大好きなので

日々に余裕ができたら洋裁の学校に通いたいと思っています」



 

▲制作は太陽光を浴びて、息子さんを見ながら。主にリビングで行っているそう

 

 

 

いよいよお話しは締めくくりに。


今回のレッスンを受講される方にメッセージをお預かりしています。

 



自分の手からものが生まれる喜びを、味わっていただけたら


「タッセルというとカーテンについているものや

キラキラさらさらしたものを想像される方が多いのですが、



技法はほぼそのままに素材を変えるだけで

自分の身の回りに取り入れやすいデザインになり

その用途は様々です。


作り方はとてもシンプルですが、組み合わせ方次第で

手の込んだものに見えるのもタッセルの魅力です!


ぜひ自分の手からものが生まれる喜びを

味わっていただければと思います。


このタッセルのレッスンが

ものづくりを始めるキッカケになってくれたら嬉しいです」



 

 






私たちもCRAFTINGのレッスンが皆様のものづくりのきっかけになれたら

こんなにうれしいことはありません。


タッセルのレッスンの視聴動画をご紹介しながら、

今週のCRAFTINGマガジンはこれでおしまいとなります。


来週のインタビュー記事もどうかお楽しみください。




<作家profile> fujiiikuko ふじい いくこ

東京工芸大学芸術学部デザイン学科 卒業後、

スウェーデンにあるカペラゴーデン手工芸学校

テキスタイルコース 修了。


手仕事によって生まれるひとつひとつの個性や

素材本来の形を尊重した作品づくりに定評がある。


分野にとらわれることなく、

「北欧、暮らしの道具店」でのアクセサリー作品販売をはじめ

バッグなどのファッション小物、アート作品など


さまざまな素材や手法に興味を持ち

実験的に制作、発表を続けている。


https://www.instagram.com/iiiikuko/

https://fujiiikuko.tumblr.com/


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